先日、サンゲツさんから発売になったウィリアム・モリスのシリーズ発表会の様子をお伝えしましたが、ウィリアム・モリスといえばリリカラさんだったのでは …?

ということで今回、サンゲツさんとリリカラさんのウィリアム・モリスのクロス、比べてみます!

ちなみに私、小学生の頃、図書館の閲覧室などで『私のカントリー』を読むのを大変楽しみに育ちました。
(最近もまた楽しく拝見しております。)
その後ヨーロッパに住んでいたこともありますし、今でもあの雰囲気は大好きです!

カタログくらべてみます

両社ともにイメージがそっくりです。

リリカラ

リリカラさん『will』のほうは「Morris&Co.」というシリーズで展開しています。

トップページの格言は一番有名なあのお言葉

My work is the embodiment of dreams.

William Morris

やはり先発のほうが大きく出せるのかもしれません。

こちらのシリーズは「Import Collection」と「License Collection」(とサイズオーダー)に分かれています。

Import Collection

「Import Collection」のほうは文字通り輸入品で特殊掛率品、ビニールクロスではなく「紙」です。
この場合、施工費(と技量)が業者さんによって異なります。
また平米売りではなく、1巻まるごと購入する必要があるので、そのあたりのお値段も変わります。

とはいえ英国で生産される本物のウィリアム・モリスの「壁紙」です。
本格的なイギリスインテリアにはもってこいですね。

とはいえ、通常の住宅ではいろいろな意味でなかなか採用が難しくもありました。

License Collection

そこで人気だったのが「License Collection」です。
ウィリアム・モリスのデザインパターンを用いて現代の日本の住宅にあうような色使いでビニールクロスで仕上げています。
柄が限られてしまうのは難点ですが、金額も通常の「1000番台」です。

とはいえ、単色または2色が中心で、色調も非常に「優しい」です。
若干の物足りなさはあったかもしれません。

サンゲツ

サンゲツさんの『FINE』では「Morris&Co.」とライセンス契約をし、新たに作った「MORRIS CHRONICLES」というコレクションでの展開です。

トップページの格言はこんなかんじです。

役に立たないものや、美しいと思わない物ものを家に置いてはならない

Have nothing in your houses that you do not know to be beautiful or believe to be useful(別冊見本帳のみ)

ウィリアム・モリス

サンゲツさんのほうはライセンス契約による製品なのでビニールクロス、カラーも現代の日本の住宅に合いそうな雰囲気、お値段も通常の「1000番台」です。

つまり、大変採用しやすくなりました!

ここからは柄ごと比較してみます。

WILLOW BOUGHS「ウィロー バウ」

有名な柳のデザインです。
こちらは両社のデザインの違いを大変よく表しているような気がします。

下がリリカラ、上がサンゲツです。

注目すべきは背景の色でしょうか。
リリカラさん(輸入品)のほうは背景がかなり黄味がかった色合いで、レトロな雰囲気があります。
サンゲツさんの方の背景は白っぽく、アクセントクロスとして採用しても周りの壁から浮かなそうです。

FRUIT「フルーツ」

こちらも有名なレモンなどの絵が描かれた「フルーツ」。こちらも色合いの違いにびっくりです。

下がサンゲツ、上がリリカラです。

こちらも先ほどの「柳」と同じで背景の色がかなり違います。
リリカラさん(輸入品)のほうは背景がかなり黄味がかった色合いです。
サンゲツさんのほうは背景は白っぽく、葉っぱや果物の色もわりと現代風です。

こちらもたしかに、現代の日本の家具や建具とも相性が良さそうです。

STRAWBERRY THIEF「いちご泥棒」

こちらも有名な人気柄「いちご泥棒」。
いちごの実を食べようとしているツグミのデザインです。

下がサンゲツ、上がリリカラです。実はこちらの柄は両社ともに1000番台。

両社の違いはというと、リリカラさんのほうが明るく、色合いと柄がはっきりしていて、表面のざらざらも少ないです。小鳥のお顔もくっきりしていて、どちらかというとかわいらしい雰囲気です。

サンゲツさんのほうは背景の色と柄の色が少し近く、全体的に柄が目立ちにくいデザインになっています。
これはこれでリビングなどに大きく使っても抵抗が少なそうです。色合いは全体的に暗めでシックな感じです。

どちらがよいか?といえば、使う場所とその他インテリアとの兼ね合い次第な気がします。

無地壁紙

両社共に「無地」のものもあります。
リリカラ(上部)さんは「モリスヘリテージカラーズ」として、サンゲツ(下部)さんは「モリスクリニクルズプレーンズパレット」として展開しています。

リリカラさんのほうは表面がフラットで、マットな質感です。
サンゲツさんのほうはいわゆる「塗り調」といわれる表面がちょっとボコボコというかざらざらした質感です。

人気のDaisy「デイジー」は?

私の個人的には、ウィリアム・モリスでいえば「デイジー」柄が一番好きです。
しかし、今回、サンゲツさんに採用はありませんでした。

リリカラさんの輸入品には2色あります。

真剣に自宅リビングに採用するなら?

ここまで柄や色合いの話をしてきて何なのですが、個人的にリビングなどに採用したいなら「LIME PLASTER(ライムプラスター)」です。

現在の自宅リビングのクロスが今回、FINEリニューアルでなくなってしまいまして …。
EDAシリーズのほんのりゴールドとブラウンがはいったものだったのですが、この度廃盤ということで。

こちらは実は、実際に職人さんが壁に漆喰を塗った物から型取りしたそうです。

まとめ:くらべてみると

サンゲツさんのウィリアム・モリスシリーズは基本、表面がボコボコした塗り調です。
これは、やはりアクセントクロスとしての採用を見越して、量産品クロスとの相性も考えてのことなのではと思います。

リリカラさんのほうは、ほぼすべて、表面が平らでマットです。

これには実は「こちらの事情」がありまして。
(サンゲツの営業さんもいっていましたが)クロス屋さんの技量による施工のばらつきが少ないということで、全体的に表面がボコボコしたクロスが多くなっているようです。

サンゲツさんがこの度、ライセンス契約をしてまで表面がボコボコしたクロスを販売したかったのには、そうした事情もあるようです。
要は、「採用しやすい」ことを一番に考えてくれたそうです。

マットなクロスだと、施工会社によっては追加料金がかかったりすることもあるようです。
現に、リリカラさんのカタログには「きれいに仕上げるポイント」とわざわざ大きな欄の説明が載っているほどです。
要するに、きれいに仕上がらないこともあります。

実は個人的には、マットなクロスが好きです。
自宅ならたとえ高くてもそういった施工が得意な職人さんに頼み、たとえダメでも気にしないのですが、皆が皆そういった考えの方ばかりではありません。
そこで、マットなクロスは神経質な方にはおすすめしません。

気になる方はぜひ、サンプルで比べてみてください!