2023年は記録的な暑さと暖冬が話題になりました。
こんなに暖かいと、冬場の断熱工事いらないのでは?と思われてしまいそうですが、断熱工事の節電効果はすごい!というのをたびたびこちらのブログでも紹介してきました。

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そんなことは知ってるよ!という方に向けて本日はさらに、光熱費だけでなく、医療費の削減効果もあるらしい、というお話です。

入浴中の死亡者は交通事故死亡者数の約4倍!

近年よくきくようになってきた「ヒートショック」という言葉。
ここ数日、ネットニュースをも賑わせています。
「ヒートショック」とは、気温の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こることを指し、特に入浴中に多いとされています。

ヒートショックが一要因となり入浴中になくなる人は年間約1万9000人いると推計され、交通事故死亡者数の年間約4400人と比べると4倍も多いとのこと。

なぜ最近よく聞くの?

ここで私は疑問に思いました。
昔の日本の家って本当に寒かったですよね。
私も子供の頃住んでいた家のお風呂は大変寒かったです。
水色のタイルと熱いお湯の湯気、入浴剤に描かれていた雪景色の温泉のイラスト、黄色の入浴剤、そして目地や天井、窓辺にカビ …

タイルが主流で、お風呂が寒いなんて当たり前だった当時。
ヒートショックで亡くなる方、今よりよっぽど多そうじゃないですか?

調べていたら、こんな論文を見つけました。

救急車で運ばれた患者数から推計した入浴中の事故死の数は年間約19,000人とされており、人口動態統計による家庭の浴槽での溺死者数は、2014年に4,866人で、2004年と比較して10年間に約1.7倍に増加している。65歳以上の高齢者が9割を占めている。

黒木 尚長、「入浴事故の危機管理:なぜ、入浴事故が起こっているのか」、『総合危機管理』, No.3, 84-90, 2018

2014年には4866人、2004年にはさらに少なかったとのこと。
なぜそんなに増えているの?!と思ったところ、本日2023年12月25日の日経にこんな記事が載っていました:「省エネな風呂の入り方 入浴直前に湯張り・追いだき」

日本の一般的な家庭では、1970年代の「バランス型風呂釜(BF式)」までは風呂は水を「沸かす」ものだった。80年代後半には住まいの各所に湯を供給する大型給湯器による「お湯張り」「追いだき」「自動保温」ができるようになる。厳密に言うと風呂は「沸かす」というより、給湯器から「湯張り」するものになった。最初から適温であるがゆえに、冬場の湯温の低下を起こしやすいといえる。

張った湯はその表面から熱がどんどん逃げていく。これを逆手に取り、急激な温度変化によって健康被害をもたらすヒートショックを予防するため、あえて蓋をせず、入浴前に湯から浴室内に放熱をさせて室温を上げるという方策も知られている。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD061LU0W3A201C2000000/

え?!バランス釜から給湯器に変わったことでヒートショックが増えているのですか??!

私の思い出の水色のタイルにたっぷりの白い湯気 …
そういえば最近のユニットバスって、そんなに湯気たっぷりになりませんね。

あえて蓋をしないでお湯で室内の温度を上げてあげるのも一つの手のようです。

医療費も削減できるらしい

とはいえ、「断熱工事をしても年配者のヒートショック予防なだけでしょ?」「うちは皆若いし」という方もいらっしゃるかもしれません。

今年11月8日、「住宅内温熱環境と居住者の健康に関する研究」(近畿大学藤田浩司准教授、株式会社LIXIL)という研究論文が発表されました。

シミュレーションの想定は以下の通りです。

昭和55年築相当の住宅に内窓(ペアガラス)を断熱改修
50歳夫婦と18歳と15歳の子供が居住
30年間の医療費と暖冷房費

昭和55年?!と思ってしまいますが、削減効果を見てみましょう。

暖冷房費削減効果

30年間で約73万円(約24,300円/年)

医療費削減効果

30年間で約25万円(約8,300円/年)

暖冷房費削減効果については、個人的にはRC造ならばもっとあるような気がするので、木造での試算かな?と感じました。

医療費削減については、一概にはいえないような気がします。
それこそヒートショックによる死亡なら、医療費?という問題でもありません。
ただ個人的に思うのは、健康って本当に大切なのですよ。
それこそ、少し風邪をひいただけでも、病院にはいかなかったとしても様々な能率が下がってしまいますよね。

個人的に思うこと

今、個人的にとても感じるのは、夜寝る部屋が暖かいと、寝る前に幸せな気分で時間が過ごせ、ぐっすり眠れ、朝も気持ちよく起きられる、ということです。
冬の朝、部屋が寒いと本当に布団から出るのが辛いです。

あとこれは個人的な体験談です。
以前、結露のすごいマンションに住んでいたことがあるのですが、その際にアレルギー性喘息を発症してしまいました。
ひどい咳で毎日辛かった(様々な能率が下がった)のはもちろん、医療費もかかりましたし、結局、引っ越すまで治りません(引っ越し費用もかかった)でした。

たかが断熱。
寒いのを我慢すればいいだけじゃない?と思ってしまいがちですが、健康に直結する大事な問題です。

最近は断熱リフォームに補助金も出るので、この機会にぜひ、ご検討ください!
(ちなみに自宅は204,000円補助金出ました!)