実はここ数ヶ月、現調で伺った先で、たまたまシロアリ被害を見つけてしまうことが複数ありました。
初夏の季節にはとりわけ注意してほしい。
今回は、本当に恐ろしいシロアリのお話です。
なお、この記事には、虫や糞が写った画像が含まれます。
苦手な方はご注意ください。
定期的なシロアリ消毒を忘れずに
弊社の物件でも、もちろん新築時に防蟻工事は行っています。
ただその保証も通常は5年。
その後も定期的なシロアリ消毒をおすすめしています。
しばらく放置してしまうと、どうなるか……
というのが、先日あった事例です。



こちらの場合は、雨漏りに気が付かず、雨で柔らかくなった柱をヤマトシロアリが食べ尽くしてしまったという事例です。
気がついた時にはほぼ柱がなくなってしまっていました。
お客様によると「そういえば毎年初夏、羽のついた虫がたくさん壁に飛んできていた」とのこと。
いわゆる「羽アリ」を見つけたら、取り急ぎ調査をご依頼ください。
そして何より大切なのは、雨漏りを放置しないことです。
雨漏りの調査にはお金がかかりますし、修繕工事も高額になることがあります。
でも、病気と同じで早期発見が肝心です。
雨漏りがひどくなってしまうと、シロアリ被害も広がる恐れがあります。
ひどくなればなるほど、修繕費用も高くなってしまいます。
それから、古い家では、タイルのお風呂の防水が切れていた、ということもあります。
お風呂の下がシロアリでボロボロ……というのもよくあるケースです。
ぜひ、適切なメンテナンスをご検討ください。
※ここから下、糞や虫の画像があります。ご注意ください。
恐ろしい外来種:アメリカカンザイシロアリ
「アメリカカンザイシロアリ」この名前を聞いたことがありますか?
昨今、関東地方でも広がっている恐ろしいシロアリです。
「シロアリ」と聞くと、先ほどもお伝えしたとおり、湿気の多い場所を好み、地面の中から建物へ入り、土台や柱の下のほうを傷めていくイメージです。
日本でよく知られているヤマトシロアリやイエシロアリは、基本的には水分と関係の深いシロアリです。
ところが、アメリカカンザイシロアリは、その性質がかなり違います。
名前にある「カンザイ」とは、「乾材」のことです。
つまり、乾いた木材の中でも生きていくことができるシロアリです。
「シロアリ」という名前がついていますが、黒いというか、焦茶色をしています。

一般的なシロアリのように、必ずしも地面から床下へ侵入してくるわけではありません。
羽アリが飛んできて、建物の外壁まわり、窓枠、屋根裏、軒、戸袋、壁の中の柱や間柱、場合によっては家具などの木材に入り込み、その木材の中で生活します。
こうした、屋根裏の吸気口などからも侵入します。

この点が、アメリカカンザイシロアリの非常に厄介なところです。
木材の中に直接入り込み、木材の内部に小さな集団で住みつき、少しずつ木を食べていくようです。


発見の手がかりになるもののひとつが、「糞」です。
アメリカカンザイシロアリは、木材の中で生活しながら、乾いた砂粒のような糞を外へ押し出します。
窓枠まわり、外壁のサイディングと水切りの隙間などに、細かい粒状のものがたまっていることがあります。

掃除をしても、しばらくするとまた同じ場所にたまる……
もしそうなら、それは、ただの砂やほこりではなく、アメリカカンザイシロアリの糞かもしれません。
こうした、白と焦茶色が混じった粒々が、特徴です。

このシロアリが怖いのは、被害の進み方が静かで、わかりにくいことです。
床下だけでなく、壁の中、天井裏、小屋組み、窓まわりなど、建物の上のほうにも被害が出ることがあります。
つまり、「シロアリ=床下」という思い込みが通用しない相手です。
また、駆除が難しいことも大きな問題です。
どこにいるのかを特定しにくく、建物の一部だけを処理しても、別の場所に残っている可能性があります。
床下だけでなく、建物全体での駆除が必要です。
被害が広がっている場合には、継続的な調査や処理が必要になることもあります。
また、侵入防止のためのネットを設置するなどの方法もあります。
アメリカカンザイシロアリは、もともと日本にいたシロアリではありません。
海外からの木材や家具などと一緒に持ち込まれたと考えられている外来種です。
かつては一部の地域の問題と考えられていましたが、現在では日本の半数以上の都道府県で確認されており、今後さらに生息圏を広げるおそれがあるとされています。
そして、現場でこの問題に関わっている方々の話を聞くと、東京都23区内の一部地域では、もはや「確認されている」という程度では済まない状況になっているようです。
例えば、新築工事の真っ最中、建て方が終わり、木工事が進んでいる途中に「糞」を発見。
調査をしてみると、すでにアメリカカンザイシロアリが棲みついていた、という事例も発生しているようです。
工事中の住宅でも、新築住宅でも、雨漏りがなくでも、家具にでも、どこにでも入り込んでしまいます。
床下だけでなく、屋根裏など家の上部にも被害が出るため、シロアリ消毒の費用も高額になります。
それでも、完全に駆除できるかどうかわかりません。
これが、アメリカカンザイシロアリの特徴です。
シロアリ被害が心配になったら
もしシロアリ被害が心配になったら、まずは専門業者に調査と見積もりをお願いしましょう。
大手ハウスクリーニング会社をはじめ、多くの団体や有名な社団法人などでも仲介をしています。
自分の家を建てた建設会社がわかっている場合には、そちらに相談するのも良いかと思います。
家の内部の、自分ではわからない部分を調査してもらうことになるので、くれぐれも信用のおけるところに相談をしましょう。
ただし、調査の結果、アメリカカンザイシロアリであることがわかった場合には、対応できる業者が限られることがあります。
通常のヤマトシロアリやイエシロアリとは性質が違い、被害箇所の特定や駆除が難しいため、業者によっては引き受けてもらえないケースもあるようです。
例えば、東京都中野区では、シロアリに関する相談先として、専門業者や協会のリンクをホームページ上で公開していますので、ご参照ください。
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kenko_hukushi/pet-eisei/pet-doubutsu/shiroari.html
確定申告の控除の対象になるかも
もうひとつ、費用面で知っておきたいことがあります。
シロアリによって家屋に被害を受けた場合、修繕費用や駆除費用について、確定申告の際に雑損控除の対象となる可能性があります。
ただし、シロアリ被害を事前に防ぐための予防費用や、駆除とあわせて行う予防のための費用は、雑損控除の対象にならないとされています。
実際に控除を受けられるかどうかは、被害の状況や支出の内容によって変わりますので、詳しくは国税庁のホームページを確認するか、税務署や税理士に相談してください。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/01.htm
おわりに
シロアリ被害は、見つけたときにはすでに進行していることがあります。
家の定期的なセルフチェックはもちろんですが、その際に羽アリ、砂粒状の糞、床の沈み、柱や巾木まわりの違和感など、いつもと違う様子に気づいた場合には、放置せず、早めに信頼できる専門家へ相談することが大切です。
木造住宅は、きちんと手を入れながら住み続けていくものです。
被害が広がってしまう前に、ぜひ一度確認してみてください。
